工場やお店は稼働させたまま屋根の改修工事が可能です。多くのビジネスにおいて、稼働を中止することはひじょうに大きな決断です。従来の葺き替え工法やカバー工法では、どうしても工場の生産ラインを止めたり、お店を一時閉店したりする必要がありましたが、新しい工法ではこのような必要がなくなりました。
新しいカバー工法は地球にやさしい
新しいカバー工法は「間接固定工法」というもので、既存の屋根材のフックボルトを使って下地となる金属板を固定し、その上に新しい屋根材をかぶせていきます。
この工法では、既存のスレート屋根に穴を開けて新しい屋根材を固定しないため、粉塵が建物内に落ちたり飛散したりする危険性がありません。この粉塵はアスベストです。
平成16年10月以降に製造された波形スレートにはアスベストは含まれていませんが、それ以前のものには含まれています。ただし、その微細な粉塵が飛散するといった類いのものではありません。間接固定のカバー工法では、このアスベストを含む可能性のあるスレートに穴を開けないため、近隣に住む人を含め、人体に影響を及ぼすことはありません。
「間接固定工法」では、屋根が二重になるため、さまざまな「地球にやさしい」メリットがあります。
新しいカバー工法では、既存の屋根材と新しい屋根材の間に空気の層ができて、内部で対流します。この対流により換気がスムーズになり、建物の遮熱性能が向上するのです。
また、間接固定のカバー工法では、環境に配慮したさまざまなオプションを追加することができます。
太陽光発電パネルはソーラーパネルとも呼ばれる太陽電池パネルです。このパネルで生み出された電力は、工場や店舗にて使うことができるため、節電につながります。
トップライトは屋根の頭頂部に取り付ける「天窓」です。このトップライトを設けることにより、一般的な作業を行うために必要な明るさを確保することができます。曇天時の天空照度15,000ルクスを想定すると、建物内のトップライト直下部分で約533ルクスの明るさが得られる計算になります。また、建物内の明るさを均一にするため、拡散板を設置することもできます。自然光で建物内の明るさをある程度確保することは大幅な節電につながります。
老朽化したスレート屋根は「ズレ」「割れ」「サビ」などが発生し、雨漏りなどの原因になりことがあります。また、年数が経過した屋根は美観を損なうことから、会社のイメージ的にも、長く放置することはあまり望ましくありません。金属屋根でカバーして改修することで、建物をより長く使用することが可能になります。
スレート屋根の改修方法は、大まかに分けて、2通りあります。
既存のスレート屋根を撤去して、新しい屋根に葺き替える工法です。
撤去葺き替え工法の最大の利点は耐震性能の向上です。スレート屋根をすべて撤去して、軽い金属屋根に葺き替えますので、屋根重量が軽くなり、建物の耐震性が上がります。また、屋根をすべて撤去するので、母屋や梁の補修を行うことが可能です。地震の多い日本ですから、撤去葺き替えを考えることはもちろん理に適ったことと言えるでしょう。しかし撤去葺き替え工法には、下記のように、いくつか考えなければならないことがあります。
労働環境向上にはつながるが…
平成16年10月よりも前に製造されたスレートにはアスベストが含まれています。このアスベストは飛散性のものではありませんが、アスベスト自体、人体に有害な物質とされているため、屋根材として使われていることが気になるという方もいるでしょう。
完全にスレートを葺き替えることで労働環境の改善にはつながりますが、問題は撤去に関わる費用です。アスベストを含んだ廃スレートは、産業廃棄物として適切に処分する必要があります。撤去はまとまった出費となりますので、経営者様は頭を悩ませることになるでしょう。
また、撤去葺き替え工法では、養生をして作業はするものの、ホコリ等が屋内に落下することがありますので、工場の場合はラインを休止する必要があります。
カバー工法は、既存の屋根の上に新しい屋根をかぶせるように設置する工法です。
既存の屋根をそのまま使用するので、葺き替え工法よりは費用がかかりません。しかし、従来の直接固定工法と呼ばれるカバー工法では、既存の屋根に取り付け用の穴を開ける必要があり、その際にスレート片が屋内に落下する可能性がありました。そのため、工場では操業を一時的に取りやめる等の処置が必要でしたが、新しいカバー工法「間接固定工法」は、既存の工法の弱点を補っていて、なおかつエコなものとなっています。
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